朝になると「お腹が痛い」「今日は行きたくない」と言い出す。
理由をはっきり言わないまま、玄関で足が止まってしまう。
そんなお子さんの様子に、どう対応したらいいのか悩んでいる保護者の方は少なくありません。
この状態は「行き渋り」と呼ばれ、不登校の一歩手前とされる段階です。
行き渋りに直面する保護者は、すでに不登校状態を経験した保護者の2.4倍にのぼるという調査もあり、多くの家庭が一度は通る道といえます。
この記事では、行き渋りとは何か、不登校との違いや主な原因、家庭でできる対応について詳しく解説します。
行き渋りとは?
「行っているけれど、行きたくない」状態
行き渋りとは、毎日学校には行っているものの、気持ちとしては「学校に行きたくない」「学校が辛い」と感じている状態を指します。
登校しようとするものの、心身の不調や不安から強い抵抗を示し、朝になると「お腹が痛い」「頭が痛い」と体調不良を訴えるケースも少なくありません。
完全に学校へ行けなくなる「不登校」とは異なり、一定の条件やサポートがあれば登校できる点が特徴です。
子どもは「行きたい気持ち」と「行けない苦しさ」の間で揺れ動いており、周囲からは甘えやわがままに見えることもありますが、本人にとっては大きな心理的・身体的負担が背景にあることが多いとされています。
不登校との違い(欠席日数の定義)
文部科学省の定義では、不登校は「年間30日以上の欠席」とされ、長期的に学校へ通えない状態を指します。
一方で行き渋りは、朝の不調や気持ちの揺れから一時的に登校を拒むものの、条件次第で登校できる場合が多い状態です。
両者には連続性があり、行き渋りを放置すると不登校に移行するリスクが高まるとされています。
つまり、行き渋りの段階で早期に気づき対応することが、不登校を未然に防ぐことにつながる可能性があります。
「さみだれ登校」という中間段階も
行き渋りの中には、登校と欠席を繰り返しながら徐々に学校から足が遠のく「さみだれ登校」と呼ばれる形もあります。
最初は週に数回の欠席でも、次第に間隔が長くなり、結果的に不登校へと移行してしまうケースが少なくありません。
この段階では本人も「行かなければ」という意識を持ちながら葛藤していることが多いとされています。
行き渋りのサイン
身体的なサイン
- 朝になると頭痛・腹痛・めまいなどを訴える
- 登校時間が近づくと体調不良になる(休日は元気なことが多い)
- 寝つきが悪い、朝起きられない
行動・気持ちの面でのサイン
- 「学校に行きたくない」と言葉にする、あるいは涙ぐむ
- 朝の準備を先延ばしにする、支度が進まない
- 家では普段通りに見えても、登校前だけ様子が変わる
これらのサインは、単なる「甘え」ではなく、本人なりのSOSであることが多いとされています。「まだ大丈夫」と軽視せず、様子の変化に目を向けることが大切です。
行き渋りの主な原因
行き渋りの背景には、複数の要因が絡み合っていることが多く、年代によって傾向も異なります。
小学生に多い原因
小学校低学年では、自分でも学校へ行きたくない理由がわからなかったり、うまく言葉で説明できなかったりする場合があります。
学習内容や量が合わない、先生の指導方法になじめない、生活リズムの変化についていけないといった要因が挙げられます。
中学生に多い原因
思春期にさしかかる中学生では、友人関係の悩みが深まりやすい時期です。
部活動の人間関係、SNSでのトラブル、成績や進路へのプレッシャーなども行き渋りのきっかけになり得ます。
高校生に多い原因
高校生になると、出席日数や単位の取得が進級・卒業に直結するため、「休んだら取り返しがつかないのでは」というプレッシャーが本人にも保護者にも強くのしかかりやすくなります。
また、生活リズムの乱れや、進学した高校の校風・人間関係への不適応が背景にあるケースも見られます。
行き渋りが不登校に移行しやすいタイミング
行き渋りは、長期休み明け(夏休み明け、ゴールデンウィーク明けなど)や新学期のタイミングで表面化しやすいとされています。
休み中に崩れた生活リズムや、新しい環境・人間関係への不安が重なることが背景にあると考えられます。
「最近様子がおかしいな」と感じたら、こうした時期の変化に特に注意しておくとよいでしょう。
親ができる対応
無理に理由を聞き出そうとしない
行き渋りの理由がなんであっても、まずは「なぜ」を問い詰めるのではなく、子どもが安心して話せる雰囲気を作ることが大切です。
本人も理由がはっきりわからないことも多いため、焦って原因を特定しようとすると、かえって追い詰めてしまう場合があります。
気持ちを受け止める
「そう思っていたんだね」と気持ちに共感し、最後まで話を聞いてからアドバイスをする、という順番を意識しましょう。
一方的な励ましやアドバイスは、精神的にいっぱいいっぱいな状態の子どもには一方的な説教に聞こえてしまうことがあります。
生活リズムを整えるサポートをする
決まった時間に起床・就寝できるよう声をかけるなど、生活リズムの安定を後押しすることも有効です。
ただし、朝起きた時にめまいを訴えるなど身体的な症状が強い場合は、起立性調節障害の可能性も考えられるため、医療機関への相談も検討しましょう。
一人で抱え込まず専門家に相談する
担任の先生やスクールカウンセラーのほか、教育委員会が設置する教育相談窓口・教育支援センター(適応指導教室)など、相談できる先は複数あります。
早い段階で第三者に相談することで、家庭だけで抱え込まずに済み、適切な対応につながりやすくなります。
行き渋りが続く場合に検討したい選択肢
行き渋りが長引き、不登校に近い状態が続く場合、学校生活そのものの見直しを検討する家庭もあります。
特に中学生・高校生の場合、環境を変えることで気持ちがリセットされ、新しいスタートを切れるケースも少なくありません。
高校生の場合は、全日制以外にも、自分のペースで学べる通信制高校という選択肢があります。
不登校や行き渋りを経験した生徒の受け皿として設計されている学校も多く、「毎日決まった時間に登校する」という前提にとらわれない学び方を選べます。
通信制高校について詳しく知りたい方は、他の記事もあわせてご参照ください。
まとめ
行き渋りは、不登校の一歩手前とされる状態であり、多くの家庭が経験する身近な悩みです。
「甘え」ではなく本人なりのSOSであることを踏まえ、無理に理由を聞き出そうとせず、気持ちを受け止めながら、必要に応じて専門家にも相談していくことが大切です。
一人で抱え込まず、学校や地域の相談窓口、そして必要であれば学び方そのものの見直しも含めて、お子さんに合った選択肢を探していきましょう。

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